アール・ド・ヴィーヴルのオンラインワークショップと展覧会に寄せて
2020年2月、コロナ禍のため8年の間ひと月に2回続けてきたワークショップが実施できなくなってしまった。ワークショップは絵を描き表現する場所であると同時に保護者の方々のコミュニケ―ションの場所。引きこもりの生活を強いられる中、このままでは長い時間をかけて作ってきたメンバーや家族同士でのつながりがなくなってしまうかもしれないと危機感を持った。オンラインで何とかワークショップができないかと代表の萩原さんに提案したところ、やりましょうと即答!今回の流れができた。
オンラインでメンバーから作品が次々に集まってくる。思っていた以上に数が多く、作品に力がこもっている。描きなさいと言われて描いたのではなく、これが描きたい!この道具を使ってみたい!この色を使いたい!思いっきりやりたいことしている真っ直ぐなエネルギーに満ちている。お風呂場で思いっきり絵具を飛ばしての制作、画材の工夫、アトリエでは到底できないユニークな作品が次々とアップされてくる。面白い!
様々な場所で不自由な状態を強いられがちな障害がある子供たちにとって、感情を自由に表現できるは場所本当に大切。ましてや学校や施設が休みになって家から出られない中で抱えるストレスは大きい。地震や災害そして今回のようなコロナ禍など社会全体が危機的状況になると社会的に弱い立場にある人、障害がある人達のことが一時的に見えなくなってしまいがちだ。この世界でみんな一緒に生きている!そんなメッセージに満ちたみんなの作品たちをWebで楽しんで観ていただけたらと思います。
美術家 アール・ド・ヴィーヴル
アートディレクター 中津川浩章
阿部 花凛
タブレットで技法を検索してチャレンジして楽しんだり、庭の植物を描いたり色選びから筆運びも今迄より丁寧でした。
前半は穏やか楽しんでましたが。…時に自分だけの空間と限りない時間が大胆にさせたのも言うまでもありません。
エネルギーを爆発させた時の満足そうな笑顔はいい思い出になりました。
仲間の作品も、皆リラックスして伸び伸び描かれている印象を受けました。仲間同士のコミュニティの場としても今回の企画は大成功だと思います。
そしてまだまだお家でアートは続いています。
(阿部花凛 母 阿部まゆみ)
佐藤 凪沙
外で描いてみたり、ニュースで、コロナの話題ばかりなので、コロナをやっつける鉄砲とか描き出し
鉄砲には見えませんでしたが、気持ちは伝わりました。
初めての体験ですが、お家でも変わらず 黙々と描いていました。
(佐藤凪沙 母 佐藤和美)
鈴木 優芽
(鈴木優芽 母 鈴木幸恵)
高橋 巧
(高橋 巧 母 高橋 久美子)
中山 彩
(中山 彩 母 中山 貴子)
平井 礼央奈
アトリエとの違いはモチーフをみて描くようになったこと。日頃使っている、ピアノ、英会話テキストの中から、絵のあるページを選んでいます。その内容に合わせて歌ったり、話したり自分の世界に入り込んでいる様子。どれも今はお休み中だからかな?
家で描くのはゆっくりやれるから良いけど、例えば絵の具もあるよとか言われるのが、「すごく嫌」。アトリエの方がいい、皆んながいるから。
とのことでした。
(平井礼央奈 母 平井巳和子)
藤原 夕里花
(藤原 夕里花 母 藤原 明子)
待寺 優
自分だけの世界に酔いしれているかのように、心穏やかな表情でアートを楽しんでいる。
その瞬間に感じたことを素直に表現しているのは素晴らしい。オンラインワークショップのお陰で、また新しい発見と喜びを感じたようである。
(待寺優 母 待寺幸)
八木 瞳
初めは、どうしようかな?と進まない様子だったので、まずはスポンジでポンポンして楽しんでみました。そして投稿してみると、いいねやコメントをいただいて嬉しそうでした。それからはどこで描こうか、何を使って描こうか、音楽は何がいいか(ほとんど嵐なんですが…)と本人なりに考えていました。
また、いつものワークショップでは会えないけれど、オンラインで作品はもちろん、描いている様子や表情も見ることができて良かったと思います。「すごっくキレイ」とか「~ちゃん久しぶりだね~」と楽しんでいました。
いつも通りにならない時に皆さんと繋がれて、嬉しくなんだかホッとできる時間になったこと感謝しています。
(八木 瞳 母 八木 美紀)
山田 和彦
コロロウイルス感染防止のための自粛で家での作品づくりになりました。
和彦はアトリエでの仲間達と一緒でない中さみしいようですが、一人で描いているので集中できるようです。
アトリエで仲間達との作品づくりはお互いの作品に影響し合える面があるので、このコロナ禍が終息して、仲間達と一緒に作品づくりできることを願っています。
(山田 和彦 母 山田 浩子)
山田 知寛
コロナ禍で今は、織りワークショップはお休み中でアート作品を自宅で描いています。
自閉症のこだわりが強いので、今までアトリエでしか描いていなかった作品づくりが家でもできるのだろうか?と心配でした。アトリエから紙をいただき、いつも使うキットパスをお借りして家でひらがなを学習した時に使った机を使ったら、少し「あれっ」という表情をしながら描きはじめました。
こだわりが強いから無理かな?と思った自分が恥ずかしくなりました。
みえない少しずつの成長の積み重ねがあったのだと気づく機会になりました。
(山田 知寛 母 山田 浩子)
ごあいさつ
アール・ド・ヴィーヴルは、9年前から障害がある人のためのアートワークショップを継続して提供してきました。毎回アートディレクターの中津川さんが進行役、作品が完成すると中津川さんがその場で作品を紹介します。作者と中津川さんが対話し、彼ら彼女らの自信に満ちた表情に、周囲から自然に拍手が沸きます。今年2月から時間が止まっています。みんなどんな日々を過ごしているのだろう、ストレスが溜まっているのではないか、コロナウイルスという見えない相手と共存する日々に疲弊しているのではと気になっていました。
そんなある日、中津川さんから今回のご提案をいただきました。
オンラインアートワークショップ募集に、即日参加のお返事があった親御さんから「子どもと向き合う日々の生活に、アートが足りなかったことを忘れていました!」と、嬉しいお言葉をいただきました。画材を引き取りに来てくれた女の子のワクワクした表情に私の心も躍りました。コロナ渦で私たちができることは、やっぱりアートワークだったのです。
オンラインに投稿された作品と創作中の表情、みんな元気に自分らしく表現していて涙が出そうなくらい嬉しくなりました。みんなに会えなくて寂しかったのは私でした。
今回のオンラインアートワークショップと展覧会開催に際しまして、ご支援いただきました「かながわ生き活き市民基金」さまに、心より御礼申し上げます。
認定NPO法人アール・ド・ヴィーヴル
理事長 萩原 美由紀
この事業は、公益財団法人かながわ生き活き市民基金より
新型コロナ対応緊急応援助成金を受けています。